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Feb 26, 2012

反射つま先から染まる、奥州永遠のアライバル

顔も知らない誰かと電話で話したことを覚えてる?

僕らはろくに挨拶もせずに、哲学の話をした。かといって、そこにプラトンもソクラテスもフロイトでさえ登場しなかったけれど。

ある程度話して、4時間くらいかな?その人が僕に言ったんだ「それは哲学だよ。」って。
最初は笑ったんだ、哲学だなんて大げさだよって。
僕は、劣等感とか、視覚と視野とか、脚本の話とか、そんなことを話しただけだし、彼はそれに相づちを打って細かな質問をいくつかした。
この人はおそらく頭のいい人だろう、と思った。もしかしたら何か権威のある人かもしれないとも考えた。でも、そんなことはどうでもよくて、僕らはただ”哲学”の話を続けた。

ある時、会話が止まった。僕は彼の質問に答えられなかった。
なんて答えていいか分からなかった。
大事な話だった。
彼は決して僕を焦らさなかったし、僕もだいぶ考えたけど、なにも言えなかった。
彼は質問を変えた。

もし今、あの時に戻ったら僕は彼になんて言うだろう。
適当な嘘で取り繕うこともできるし、僕には哲学は分からないと言って逃げることもできる。
ただあの時、僕は”ないかもしれない答え”を探していたのだと思う。
黙って、ないかもしれない答えを探していた。
その行為自体が哲学だったのだと思う。

たった一人の土曜の夜は、久しい感覚にさせてくれる。
少し前の僕に引き戻される。
明日の夢は視覚に委ねて眠る。